コースプランナーレポート 2016年6月7日 (木村佳司) |
■■ 楽しいコースを提供したい ■■ 安曇野ロゲイニング2016参加者の皆様、初夏の安曇野を楽しんでいただけたでしょうか。 「安曇野」と言えば、「ワサビ田と道祖神」というイメージがあり、そのイメージをそのままコースを作ってみました。 今回のコースコンセプトは「安曇野の水郷」。初夏の中、清涼感のある高原の水を感じられるコースにしました。 最高得点の151点が安曇野水郷のステータスシンボルである「大王わさび農場」に設定し、多くの参加者をこの水郷の中心に集めて、安曇野の初夏の爽やかさを感じていただきました。 ■■ 家族組、女子組、混合組を意識したコース ■■ ロゲイニング競技のコースプランとしては、どんな強豪選手でも決して満点を出させない広大なコースを用意するのが普通です。バリバリ走る男子選手を強く意識しすぎると、家族組、女子組、混合組に厳しいコースとなります。それでも通常のロゲイニングコースなら点数配分を工夫するなどでそれぞれのクラスでも楽しめるコースを設定します。 ■■ 安曇野の特徴 ■■ ところが安曇野のフィールドは他の場所と大きく違うところがあります。それは河川が集中する地形です。河川を渡る橋が限られていて、それが遠く離れています。このフィールドでは橋を有効に使えないと面白味が半減してしまいます。 そこで今回の安曇野ロゲイニング2016のコースでは、なるべく多くの家族組、女子組、混合組が複数の橋を渡り切って3時間のゲームを楽しく有効に進められることを目指しました。 このためにすべてのコントロールを水郷地帯に集中させ、水郷の中をどのような軌跡で回るのかを問うセッティングにしました。橋を繋いで回ってくるルートは素直に回れるようなセッティングになっています。 狙い通り、多くのチームが2000点満点中1000点を叩き出してくれています。これだけの得点が取れるということは、レース中にはいいペースでコントロールが現れていることを表しています。楽しくコントロールを巡っていただけたと思います。 ■■ バリバリの男子に対して ■■ 圧倒的な走力を持つ、バリバリの男子ランナーにとってもスリリングなコース設定であることが求められます。今回のコースはこうしたバリバリの男子も意識したコース設定になっています。 今回のコースは素直なルート取りをすると美しい軌跡になるのですが、全コントロールを巡るようにすると、とたんに移動距離が増えるようになります。これは水路や川、橋といった障害物があり、見た目以上に迂回や出入りを余儀なくされるからです。 渡れる橋が少ないことから、「ケーニヒスベルグの橋問題」のような課題設定となり、これを解消するには知恵か走力かが必要となります。 さらに橋の部分では立体構造が多く、立体の上下をつなぐためのアクセス距離が必要です。地図から想像する以上に時間がかかります。 こうしてできたコースは全ルート巡ると31km。ちょっと短いのは承知でした。しかしこれより範囲を広げると、橋や水路とのバランスが悪くなり、最もフォーカスしている家族組、女子組、混合組の面白味が減ってきます。そこでこのコースで競技に踏み切ることにしました。 それでもバリバリ男子では満点が出るかもという懸念はありました。立体問題で多少は時間が稼げるのかもという微かな期待はありました。 ■■ 満点は1名 ■■ 競技結果はソロ男子で満点が1名。やっぱり競技者はプランナーの上を行きます。素晴らしいパフォーマンスです。 それでも満点が出たのは1名だけで2位は1箇所回れませんでした。3位は2箇所回れませんでした。 満点が複数でて1位が何人も出てしまうという事態は起こらずに済みました。 ■■ 結果的に成功したコース設定 ■■ 家族組、女子組、混合組にも楽しんでもらえた今回のコース設定は成功したと評価できます。さらに上位者も1名だけ満点で優勝が決定したというところも、結果的にコースとしては絶妙だったということになります。 また次回のロゲイニングでは違うコンセプトでコースを考えます。楽しみにしてください。 (木村佳司) |