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| 1.はじめに
1997年10月11日、第5回インカレショート大会が静岡県富士宮市において、開催された。インカレショートも今年で5回目となり卒業生も輩出した。しかし第3回で確立されたインカレショートではあるが、まだまだ創世期であることには間違いなく、いろいろと試みては大会を作り上げていった。折しも第5回、春のインカレ第5
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| 2.イベントの充実
第5回大会の指針としては、実行委員会立ち上げ時からイベントの充実を念頭に置いていた。 過去の報告書等でも語られている様に、インカレショートに課せられた課題というのはやはり「見せる(魅せる)大会」であると思う。そのため今回の実行委員会組織では「競技責任者、運営責任者、演出責任者」という3本を同等に立て、それらを中心に運営準備を進めていった。幸いにも大西淳一(東大卒)という人材があ った幸運もあり、インカレショート最大の企画が実行された。 第3回大会で行われた演出をベースに赤城3日間大会(1997年5月開催)を組み合わせ、舞台設営から放送に至るまで、今までの大会以上の物を求めた。会場においては舞台を軸とした観客のためのレイアウトを施し、競技者も会場から見えたら演出の一部であるという前提で会場への進入方向も決めた。「舞台(大時計)、ゴールレーン、観客」が一直線に並び、競技者の出現と共に観客の多数が大時計によるカウントダウンを行った。その中でAファイナルにおいては男女とも逆転優勝が起こり、もちろん会場はその日最高の盛り上がりを見せた。これも会場レイアウトによって引き起こされた物であり、参加者には好印象を与えた様だ。また会場付近でのコースは競技者にとって一部走り難い場面(会場進入に際し、急な曲がりを強いられた)もあったかと思うが、演出重視の方向性は変えなかった。この点についてはアンケート等を見る限り特に問題は無かった様で、結果的には正しい選択であったと思う。 今回実験的に行った物の中で特筆すべきは「FM放送」であろう。今までの様な会場放送では、競技中でも会場の位置はおろか放送内容まで分かってしまう事などがあった。FM放送であれば、ラジオさえ持っていれば会場のどの位置にいても放送が聞こえるという利点もあるが、会場外まで聞こえるような大きな音を立てないで済む為、競技者には聞かれてまずいが観客には伝えたい情報等を流すには非常に有効であると思われた。FMの発信器自体はそれほど高価な物でも無く、その価格に見合った(それ以上の)効果が得られると思う。今回は初めてと言うこともあり、観客へのラジオ持参の呼びかけが不十分だったため、全てFM放送で賄うとまではいかなかったが、アンケート等によればラジオ使用者には概ね好評だった様だ。演出の充実と共に競技者には流れて欲しくない情報、観客には流したい情報という物が多数出てくると思う。運営者側でのFM発信機材の充実や観客へのラジオ等持参の徹底などまだまだ多くの問題はあるものの、「FM放送」という物は今後の放送(演出)の一選択肢と成りうる物と思われる。 演出の充実と共に資材(舞台、賞品etc...)等の増大はなかなか避けられないものと思われる。実際に今回も増大する資材に対し、借用や後援団体からの提供を十分に活用し経費削減に努力してきた。それでもやはり最終的な演出費は「地図代金、当前日大会運営費、バス代」に次ぐ第4番目の大きな支出項目となった。もちろん
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| 3.標準的な組織による運営
今回の実行委員会立ち上げに際し、「標準的な組織」という目標があった。「標準的な組織」いわゆる「どこでも作れそうな組織」である。これまでのインカレショートは一部のスペシャリスト達が作り上げて来た感がある。それも競技性の充実という面から見ればよい事ではあるが、インカレショートの目的の一つである、「インカレが開催出来ない地域での、インカレレベルの大会開催」にはやや不向きな流れとなる。そういった中でこの標準的な組織という目標が掲げられた。実際の役員はといえば、インカレ等の運営経験者もあるものの、基本的には各チーフ等は大学大会レベルでのチーフ(パート)経験者を配置していった。大学大会であれば例えチーフであっても、全国を考えれば相当数に上り、また全国的にも散らばっているであろう。そういう事で今回の組織は、そのモデルケースとなるつもりで準備していった。技術的に足りない部分は話し合い等でカバーしていった。最終的には成功の元に終える事が出来たが、大会当日が快晴であった、未帰還者が発生しなかった等の好条件も重なったおかげもあるものの、この様な組織でも大会運営は行える、また成功を収める事が出来るという好例となったと思う。今までインカレが開催されていない地域での今後の開催へ、弾みがつけばと願う。
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| 4.土曜開催(多日間大会)
今大会では金曜祝日の翌日に当たる土曜開催を試みた。この様な大会日程は「遠方大学への配慮」という事から考えられた。通常の日曜開催では遠方大学は月曜の午前中(もしくは丸1日)、学業を棒に振らなければ成らない。出来る限り主な参加者である学生には平等でありたいという考えの基、(今回は金曜祝日という特殊事情もあり)前後日を移動日に当てられると言うことで、この様な土曜開催に踏み切った。もちろん土曜に講義のある大学があることは実行委員会内でも議論の1つとなったが、結局の所「土曜講義の大学」「遠方大学」のどちらかに負担がかかってしまう事には変わりないので、今回は試験的意味合いを込めて土曜開催に踏み切った。この件に関しては土曜に講義のある学生の方々には多大なるご理解を頂き、この場を借りて感謝したい思う。 参加者数から判断すると第4回大会と比べ、全体の参加者は100名程増え、学生併設に関して見ると180名程増え(昨年の約1.8倍)、学生に関して言えばこちらの目標は達成され、インカレショートという大会本来の主旨から言えば成功であったと思う。社会人に関しては減少しており、まだまだ「併設大会」および「選手権大会の観戦」に対しての魅力付けが足りなかったと反省する。土曜開催に関しては議論の余地は残るものの、達成された目標も多く、今後の大会開催の良いモデルとなれたかと思う。 土曜開催を議論していく中で、空いた日程で大会を行うという話になった。もちろん「集客&黒字会計」を目指しての事である。過去のインカレショートを見るに単日大会による参加者の伸び悩みは明らかであり、ある意味で黒字会計を目指すには、作業量の増大と言うリスクを背負いつつも、多日間大会は必須であろう。ただし春のインカレの様な物を目指すには金銭的にも労力的にも不可能であり、またそれでは春のインカレとの差別化には繋がらない。それに変わる何かを掲げての大会を開催していかねばならない。そういった中で結論として「同期リレー」「運営者に挑戦」といった企画色の強い大会を開催した。ただテレインの制約上、舗装路の走行等が増えてしまった。この点はア塔Pート等でも指摘を受けているが、我々も予選(併設)ゴール地域や決勝テレイン中央付近の工場等を検討していた。しかし資材移動の時間的問題や、運搬費、リレー用に新たにレンタルしなければならない資材(電源、トイレ等)の発生、その他諸問題(水道問題)などにより最終的に今回の様な形に落ちついた。実行委員会でもそういった所を補うため、他の形で満足して頂ける様にとより一層企画検討を繰り返してしていった。結果は参加された皆さんはご承知の様になかなかの好評を得、こちらの予想を超えた盛況ぶりとなった。競技的に十分でなくとも、満足して頂ける事を示せたと思う。また競技性の追求もさる事ながら、それ以外の方向性もオリエンテーリング競技者が求めている物と感
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| 5.終わりに
以上の様に様々な実験を試みつつも成功を収めることの出来た第5回大会であった。会計的にも成功の域に達することができた。このような背景には、ボランタリー精神の元に集まってくれた実行委員会役員および前橋OLCを始めとする多数の関係各位があったからこそである。多大な協力を頂いた皆様にこの場を借りて感謝の意を表したいと思う。
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