総務責任者報告
第6回インカレショート総務責任者:阿部 慎一
 
 
 大会当日あいにくの天気とはなりましたが、最悪の事態(台風の直撃)は避けられ、何とか大会を無事終了することができましたことを、この場をお借りして御礼申し上げます。他の報告と多少重複する点もありますが、総務・運営関係について2〜3報告させていただきます。

【運営の特性】
 今回の日本学生オリエンテーリング選手権ショートディスタンス競技大会(以下インカレショート)は、1週間後に行われる全国スポーツレクリエーション祭(スポレク岐阜大会)とのタイアップで開催された。このタイアップにより、地図調査・制作費の負担の軽減、会場や渉外の面では地元自治体等の多大なる支援・協力を得ることができた。
 しかしその反面、この開催計画が具体化してからの準備期間は非常に短く、実質6ヶ月程度ですべての準備を行うこととなり、実行委員会にとっては一番の課題となった。そのため、実行委員会の設立・ブリテンの発行等の規則に定められた手続きが遅れがちとなり、これらの点については大会コントローラー及び日本学連および各地区幹事には、若干ご迷惑をおかけしたかと思われる。
 また、運営の負担・経費の削減の点などから、単日の大会日程とし、モデルイベントも行わないこととした。これにより、参加者の減少(収入減)が危惧されたが、後述のように運営経費の削減等の努力及び参加者が予想以上であったことにより、結果的には収支は概ね問題のないレベルとなった。

【大会準備・運営組織】
 今回の実行委員会は、愛知県在住を中心に岐阜・長野県在住の学生OBを加えて組織した。また、準備期間の遅れと、ショート形式大会の経験の不足を補うため、各パートに経験豊富なOBを配置した。
 単日大会であったこと、また関東地区での開催ではないことから財政状況がきわめて厳しいことが予測されたため、運営経費の削減が求められていた。そのため実行委員会の会合・試走会・現地作業は極力抑え、メーリングリストによる諸連絡・打ち合わせ等によりフォローする体制とした。また、徹底して運営組織のスリム化を図り、重複するパートの人員の削減(パートチーフのみの体制・ゴール計センの統合)を図った。また、今回の特殊事情もあり、渉外担当・事務局の作業量がかなり軽減できたことから、これらの部署は責任者級役員で兼任するなどとし、最終的には前回を下回る当日42名の役員体制で運営することができた。

 特に、ゴール・計センパートにおいては「OLSYS」(新帯氏作成)を用いることにより、ゴール・計センの省力化・省人化及び予選確定処理の高速化を図った。今回は本システムの機能のひとつである、パソコンによるゴールタイム計時とエントリーコードの手動入力を組み合わせた方法によった。これにより実質的にゴール・計センの2つのパートを統合した形で運用することができ、予選・併設大会・Bファイナル・Aファイナルと、ほとんど4つの大会と言っても過言ではないショート形式ならではのゴール・計センにおいて、大幅な省人化と処理の高速化を実現した。新帯氏には、本大会に向けてショート形式の設定・機能強化について精力的に取り組んでいただき、たいへん感謝している。
 しかしこのような中においても、演出(イベント)部門はインカレショートの盛り上がりを左右する重要な部署と考え、運営のスリム化とのバランスをとりつつも、可能な限り力を入れ、工夫を凝らした。特に目玉となるような新しい試みは行われなかったが、会場備え付けの資材/機材・常磐インカレからの引継資材等を活用して、大型速報ボードによる予選結果発表、決勝の中間、決勝速報、実況放送に加え、Bファイナル・併設表彰式を含めた一連のタイムスケジュール・放送内容のマニュアル化を行い、限られた運営経費・人員・時間的・空間的制約の下、完成度を追求した。

 最も心配されていた準備期間の遅れについても、ショート担当理事でもある木村氏による的確なアドバイスをはじめ、各実行委員・大会コントローラー大西氏の精力的な準備活動により、取り戻すことができた。
 地図調査・地図印刷に関してはは学連契約通り業者に委託して行った。調査範囲の半分が旧地図範囲であったこともあり概ね問題なく準備が進められたが、最終的な完成地図の納期については問題となった。この件については別途報告させていただく。

【競技運営上の問題点】
 競技運営においては、予選・併設エリアが会場から若干離れていたこと、競技エリア及び参加者の移動するルートが錯綜していたこと、競技前の選手と競技後の選手の接触などの問題があったが、時間的分離と空間的分離を組み合わせるなどにより、一部の点を除いてクリアすることができた。
 今回、Bファイナルについては、時間的分離により接触を回避し、Aファイナルと一部重複する競技エリアにおいて運営の負担を軽減できるマススタートによる方式で行った。しかし、一部のBファイナル参加者が、ルートを大きく外れたAファイナル女子スタート付近に出没し、運営者に発見されるという事態が発生した。Aファイナル競技エリアの地図を持つBファイナル出場者が競技前の選手と接触する可能性のあったという事態であったことから、今後Bファイナル競技をかなり制約せざるをえないのではないかと考えられる。

【エントリー】
 今回の大会では、以下のようなエントリー方法によった。
・選手権クラス 電子データによるエントリー(地区学連単位)
・学生併設   電子データによるエントリー(地区学連単位)
・一般併設   郵送・会場・電子メール(遅れ申込あり)

 学生の選手権クラス及び併設クラスのエントリーについては前回に引き続き地区学連単位で電子データの提出をお願いした。これにより実行委員会のエントリー処理作業が大幅に軽減された。
 また、今回は単日大会であるにもかかわらず、多数の学生併設クラスへのエントリー(273名)を頂いたが、これは厳しい財政状況の中、たいへん貴重な収入となった。とともに、選手権レースを応援する多数の学生が参加されるようになったことは、たいへん喜ばしいことである。インカレショートが”インカレとして”認知され盛り上がってきたことを実感させられた。

 一般クラスのエントリーは、郵送・会場受付による方法と電子メールによる方法を併用し、気軽に申し込んでもらえるよう、エントリー方法が選択できるようにした。また、運営の負担となる当日申込を無しとする代わりとして、郵送・会場・電子メールによる遅れエントリー(1週間前まで)を設定した。今回、遅れ申込のクラスを通常申込のクラスとは別のオープンクラスに分離したが、これについては要綱の表記の仕方がやや分かりにくかったようであり、今後の検討課題と言えよう。
 全体としては、通常・遅れとも、予想以上に多くのエントリーを頂いた。ランナーとしてよいテレインを堪能していただけたとともに、観客としても学生たちの熱戦を大いに楽しんでいただけたのではないかと思う。

 宿泊・輸送については、日本旅行名古屋中央支店に一括して依頼して行い(委託)、大会のエントリーとは別途行うこととした。秋の行楽シーズン中でもあり、所定数の宿泊所の確保は困難を極めたが、日本旅行側には誠意をもってあたっていただいたおかげで、申込等の事前処理・当日スケジュールともほぼ順調に行われ、結果的に実行委員会の業務を大幅に軽減することができた。

【エントリーにおける問題点等】
 このように、エントリーの方法は前回の方法をベースに多少工夫を加えたが、概ね問題なく行われ、800名弱という単日大会としてはかなり多くの参加者を集めて、大会を盛り上げることができた。その反面、いくつかの問題が発生した。

 まず、学生のエントリーデータの作成が一部の学生(各地区幹事長)にとって多大な負担となっているということである。実行委員会側としては、これによりかなり負担を軽減できているので、この方式が望ましいと考えているが、学生側のデータの作成やチェックを分担する等、よりベターな方法を検討する必要があるだろう。今回はこれに加えて、学連枠の返上に伴う補充措置がエントリー締切後に発生し、一部の学生には、より負担が増したこともあげられる。

 また、今回一部の地区学連及び大学にエントリーの不備が発生した。特に一部の地区学連においては、地区学連のエントリーが著しく遅延した。地区学連のセレクション日程等やむを得ない事情がある場合には、事前に実行委員会側とエントリーの方法・日程等について十分調整するよう周知し、さらにブリテン2にも明記していた。しかし、当該地区学連は締切当日になってエントリーが遅れることを実行委員会側に報告し、結果的に、エントリーデータの提出が5日、エントリー前に行うべき参加費の入金が約4週間遅延した。
 これらの不備は大会を直前に控え、貴重な時間をやりくりして大会準備作業を行っている実行委員にとって多大な負担となっている。そして、言うまでもなく、エントリーの締切等はプログラム(ブリテン3)発行の日程等を勘案して決めたぎりぎりの日程であり、決して無理難題を押しつけているわけではない。また他の地区学連及び大学は問題なくエントリー・入金を終えており、ルールを守った側に対して不公平と言わざるをえない。不備のあった地区学連及び大学に対しては、ペナルティ及び報告書(始末書)の提出を求めたが、今後、このようなことが決してないようにお願いしたい。また、実施規則・要綱記載のルールは確実に遵守してほしい。

 全体としては、大会準備期間の遅れや厳しい財政見通しなど懸案の事項もクリアすることができ、大会当日を迎えることができた。当日は天候の問題もあり、参加される側も私たち運営者側も多少混乱があったかと思うが、概ね問題なく大会を開催できたのではないかと思う。
 最後に、多くの方のご支援とご協力により大会が開催できましたことを感謝するとともに、深く御礼申し上げ、報告とさせていただきます。