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霧ヶ峰ロゲイン2008
コース解説 木村佳司
2008年8月3日(日)



霧ヶ 峰高原で3時間ロゲイン競技を行うにあたって、まず満点が出ない競技面積を設定することが必要でした。ゼブラ山-山彦谷北の耳-車山山頂を地図に含める事 は必須でした。さらに強清水地区をスタート・フィニッシュにしたコースバリエーションを多く取るために強清水地区より西側・南側へ競技地域を広げるように しました。これらの競技面積の設定にあたって、2006年・2007年に開催された菅平ロゲイン3時間の部に参加したランナーの走破距離を参考にしまし た。

コントロール位置はまんべんなく配置しています。一筆書きルートでその地域のすべてのコントロールを通過することができないようになっています。これにより参加者の体力や戦略により、さまざまなコースバリエーションが生まれるようになっています。

会 場が競技範囲の中心にならないアンバランスな範囲を使ってのコース設定となりました。コースバリエーションを持たせるために配点に工夫をしています。会場 から近い踊場湿原周囲のコントロールの得点を高めに設定しています。もし踊場湿原周辺の配点が低ければ、参加者全てが車山や八島湿原方面を目指してしま い、戦略性に乏しいコースになってしまいます。

会場周辺のコントロールは比較的高得点にしています。霧ヶ峰ロゲインは、ロゲイン初心者の かたも多い競技会でした。経験者と初心者では自ずと移動距離は違っています。一般的に遠いコントロールのほうが高得点が設定されることが多いのですが、今 回は違います。移動距離の多い者だけが高得点を重ねるという配点では、経験者と初心者の得点差が極端になり易いです。初心者でも高得点コントロール・低得 点コントロールを選んで戦略的に走るように、会場近くにも高得点コントロールを配置しています。

競技範囲の東側を南北に通る尾根線いわゆる「北の耳」を通るルートと「蝶々深山」を通るルートは距離が近いにも関わらず連絡ルートがありません。体力のあるひとはこの2本のルートを通ることができるでしょうが、殆どの人はどちらのルートを通るかの選択となるでしょう。
じゃぁ 「蝶々深山」ルートを通った人は全て同じ得点になるのかというと、それでは面白くない。「蝶々深山」ルートでも車山乗越からピストン往復すると80点獲得 できるように設定しています。また八島湿原近くからでも44点がピストン往復によって獲得できます。このように同じ「蝶々深山ルート」でもその前後の戦略 や体力によって、獲得点数に差が出るように設定しています。

八島湿原北部に2個集中的に高得点コントロールを設置しています。これも参加 者の戦略性を試すものです。この2個は合計するとかなりの得点になります。しかし周囲は走行が禁止された木道に囲まれています。移動速度の低下は必至で す。それでもこのコントロールに向うのかどうか。
木道では歩行が義務付けられているため、ここを積極的に利用して補給や休息に利用するという戦略が考えられます。
また、八島湿原駐車場では自動販売機などお金を出せば補給できます。ここの補給をアテにして荷物を減らすことも戦略として考えられます。これらの戦略が上手くゆけば八島湿原北部の81点、94点が大きなタイムロスなしで獲得できるはずです。

3 時間ロゲイン競技として充分な競技面積を用意したと思っていますが、万が一素晴らしい競技能力の参加者がいて、満点に迫ってきたときのことも考えていまし た。それが31点コントロールです。会場から距離だけは近いのですが、このコントロールは他のコントロールからの連絡が悪いです。それでいて全コントロー ル中最低点数の31点しか与えられていません。そう、このコントロールは素晴らしく労力パフォーマンスが悪いコントロールです。眼力のある競技者ならこのコン トロールには近づかないでしょう。しかし満点勝負にもしなってくれば意味合いが違ってきます。31点を獲得できたかできなかったかで勝負がついてしまうこ ともあるでしょう。

最後に反省点です。67点コントロールは道から外れた霧ヶ峰キャンプ場の敷地の中にありました。「道を外れてはならな い」という今回のルール逸脱をコース自身がおこなっていたことです。「ルールがシンプルでない」という指摘が参加者からありました。全くその通りでした。 今回は競技範囲の性格上、道・防火帯以外の通行をすべて禁止としました。

私がここに67点コントロールを設定した背景心理として、コント ロールごとに難易度のバリエーションを持たせたいという思いがありました。2007年秋にコースプランナーを務めた菅平ロゲイン3時間の部では、こうした 難易度バリエーションに対して、かなりいい評価をいただきました。こうした過去の成功体験に縛られていたようです。

霧ヶ峰ロゲイン2009では、反省点を踏まえ違うコース設定を行います。楽しみにしておいてください。少なくとも30個のコントロール位置はすべて2008年と違う場所にするつもりです。

今回残念だったのは、95点コントロール付近の人道トンネル内で頭を天井にぶつけて大ケガをされたかたがいらっしゃったことでした。トンネル内の高さは低い上、ボルトのような突起物が出ていたということでした。
この危険は行政側に直ちに連絡し、改善を要望しておきました。しかし同じ危険に参加者を晒すわけにはいきません。霧ヶ峰ロゲイン2009では人道トンネル内の走行は禁止し、安全に歩いて通過していただこうと考えています。全長わずか10mのトンネルです。

(木村佳司 長野県オリエンテーリング協会)