WTOC2018(Latvia)参加報告 (田代雅之)

今夏ラトビアで行われた世界トレイルO選手権(WTOC)に日本代表として出場してきました。県オリエンテーリング協会様からもご支援をいただきました。ありがとうございます。ここではそれに向けた準備や大会の参加報告を書かせていただきます。

【1】国内準備 ~7/29

トレイルOのトレーニング方法はいまだに試行錯誤中です。主に取り組んだのは下記の6点。

a)過去に出場した海外大会のレースアナリシス(自身の弱点を客観的に把握しやすく、レース中注意したい点が明確になる)

b)休日に近くの公園等で地図と現地の対応練習

c)フォレスト用o-mapの使える機会に、林内で地図と現地の対応練習

d)目の前の風景を頭の中で図化する(o-mapをイメージしてみる)練習

e)TempOを写真でWeb上で再現してくれるサイトでTempOの疑似練習

f)Google earthで現地イメトレ

本当はもっとこれらに時間をかけたかったところですが、チーム事務作業のため、練習時間の確保は一部犠牲にせざるを得ませんでした。今夏遠征はトレーニングのために前週大会にも参加して遠征期間も長く、その準備も比較的多めです。チームにはオフィシャルも付いてくれますが、やることは多岐に渡るので、その一部を選手自らがやらなければならないのはある程度は仕方のないところです。それでも、WTOC参加手続きや会計面ではだいぶチームオフィシャルにやっていただけたので、その部分はありがたいと思っています(十分とは言えない部分がないわけではありませんが)。

 

【2】前週大会 8/1~3

今夏は都合良く、WTOCの前週に隣国リトアニアのクライベダで大会があり、WTOCと類似テレインということで、本戦前調整も兼ねて参加してきました。日本の山野は腐葉土質で林内の道は車椅子は通りづらく、勢い、公園等の人口特徴物での課題設定が多くなりがちです。一方ヨーロッパでは地面が比較的固く林内まで車椅子も入れるため、林内の地形を使った課題が多く提供されます。その意味で前週大会への参加は貴重な経験となりました。特に、正しい位置に正解フラッグのないパターンと、地図と現地の対応速度も競うTimed Controlの課題で、弱点とその対処方を検討できたことは大きかったです。

前週大会の林の一例

 

 

【3】WTOC開幕 8/4

今年はフットOの世界選手権もラトビアでの開催で、まずは首都リガにて合同開会式に出席しました。同じ静岡県協会所属の村越久子さん、小泉成行選手とも再会できました。

(そのときの写真が、小泉選手の報告にあります。こちら)

フットOは首都リガ近郊での開催ですが、こちらトレイルOはそこから南東へ約230kmのダウガフピルスという街が競技会場です。WTOC主管者に移動手段をオーダーしていたのでそれほど疲労せずに移動できましたが、言ってみれば東京で開会式後に競技会場の名古屋まで移動するようなものです。多少面倒ですが、こんな経験ができるのも代表選手ならではです。

【4】WTOC本戦(PreO) 8/7,9

移動翌日にモデルイベント(本戦テレインや競技運営状況を模したトレーニング用イベント)、その翌日は出場のないTempO(選手のサポート役として、また併設大会参加のため、競技会場へは行きました)と経て、いよいよ出場種目PreOの日がやってきました(PreOは2日間の総合成績で競います)。

私のWTOC初出場は2009年。そのときからずっとこの種目でトップ取りたくて今まで続けて来れました。当時からはや9年。ようやく再挑戦の機会を得ました。そのことが嬉しくて仕方なかったです。

PreO初日スタート待機枠の筆者


長いこと競技をやっていますし、国際大会の経験もあるので、世界選手権と言えど緊張はありませんでした。普段通りの気持ちでレースできたと思います。ただ制限時間の使い方は少し失敗もありました。それによる失点もあり、初日終了時点ですでに、事前に口にした目標がはばかられるような結果となりました。ただ、何がいけなかったのかの分析はできているつもりでしたので、2日目は少しでも挽回しようという気持ちでした。

迎えた2日目、比較的良いイメージでレースはできていました。そのため、レース終了時に確認した自身の成績には愕然としました。ケアレスミスによる失点もありました。まだ世界のトップに立つにはいろいろと実力が足りていないようです。

PreO-Day2競技中の筆者(左端、現地確認中)

 

オープンクラス成績

優勝 Jan Furucz (スロバキア)

45位 田代 (日本) [対Top比:正解数差-8, Timed Control +11秒+60秒(誤答数差1)]

【5】WTOC本戦(Relay) 8/10

散々な結果となったPreOでしたが、初日の成績がまだましだったおかげで、各国代表3人で競うRelay(国別対抗)には出場できることになりました。せめて有終の美は飾りたいところです。

ルールや日本チームの戦略詳細は長くなるので別稿に譲りますが、自分は3走(アンカー)で、2走に経験豊富で得意不得意の少ない木村選手を配置し、田代の苦手コントロールを先に木村選手に消化してもらう戦略を取りました。そのおかげもあり、良い感触でレースを終えることができました。それでも難易度の高いコントロールで失点してしまいましたが、PreOチャンピオンはさらに失点していることを考えれば、自身としてはまぁまぁぎりぎり及第点かな、とは思います。ただより上を目指すならこのままではやはりだめなので、PreOで感じた実力不足の部分を補って、より強くなってこの場に帰ってくる必要があります。


オープンクラス成績

優勝 Norway

14位 日本 [対Top比:+248.5秒]

[正解数差-1(+60秒), TempO part +68.5秒+120秒(誤答数差4)]

アンカーとして最後の課題に取り組む筆者(テント内で着席してTempOパート対応中)

 

【6】終わりに

目標には遠く及ばない結果となりました。

WTOC開幕前、自身の力量分析は完全に見誤っていたと思います。楽観的に過ぎました。前週大会では、今見ればなんでこんなミスをしたのだろうと、自分で首をかしげてしまうようなミスもしています。

ただ裏を返せば、それだけこの遠征中に成長できたとも言えますし、自身の弱点もつかめたと思います。まだ目標に到達するには力量が足りてない感はありますが、その分伸びしろもあるはずなので、また1年しっかり準備して、早く目標とする世界チャンピオンになりたいと気持ちを新たにしているところです。

ご支援、ご注目いただいた皆様、ありがとうございました。

2018年09月09日