第12回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

金沢 拓哉
年度大学卒

報告書


内容

  1. 準備
  2. トレキャン
  3. レースの反省
  4. これからに向けて
  5. 最後に

準備

4月の選考会の後、それまでよりも高い意識でトレーニングをするようになりました。具体的には、もっとスピードを出せるようにするためにフォームを改善し、スピードトレーニングや登りを強くするためのトレーニングを多く行うようになり、トレーニング後にはアイシングを欠かさないようになりました。その効果は、比較的早く現れ始めました。普段トレーニングに使っているコースのベスト記録は飛躍的に伸び、そのことはさらにトレーニングの意欲を高めることになりました。ただ、一つ気がかりだったのが、7月下旬から8月上旬にある試験でした。約2週間の試験期間の間は、それまで通りのトレーニングができないことは明らかでした。だから、ユニバーに向けた大まかな計画は、試験前までに調子を上げられるだけ上げておいて、試験期間はそれをなるべく落とさないようなトレーニングをして、出発までの2週問でなんとか元に戻す、といったものでした。
ところが、試験は予想以上に過酷なものとなり、思うようにトレーニングすることができませんでした。しかし、それ以上に予想外だったのは、僕自身が、考えていた以上に疲弊し、体調を崩してしまったということです。試験が終わって2日後から、最後の国内合宿としてトータス3日間大会に参加しました。しかし、初日に途中で体が動かなくなり棄権してしまい、2日目もなんとか完走したものの、まったく体がいうことをききませんでした。ただ、技術的なことは、何日か山に入れば勘が戻りそうな気がしました。その翌日に行われた北東インカレでは、気力だけでなんとか勝つことができたものの、体力的な不安を拭い去ることはできませんでした。
その後、出発までの10日間は、体調を戻す事に専念する事にしました。無理にきついトレーニングをして体を壊したくなかった、ということもありますが、僕は、まず体力ありき、の選手なので、以前より走れていないということが非常に大きなストレスになるので、そのことで自信を失いたくなかったからです。

トレキャン

トレキャンは、フランスのテレインに慣れることと、これならいける、という自信を取り戻すことに専念しました。フランス入りしてからもしばらくは体が動きませんでした。結局、3日目ぐらいからやっと動くようになりました。初副ま、怖れていたとげとげのヤブがたいしたことはない事を知りほっとしたと同時に、斜面が思ったよりきつく感じて、体が動かないことに不安と焦りを覚えました。2日目の午前も体力的にかなりきつく、午後のコンピでは、リズム良くこなせたものの、やはり体力的な不安が残りました。でも、クラシックの朝までに戻れば良いんだと自分に言い聞かせて、焦らないように、自信を失わないようにしました。
3日目に、ようやく体が動くようになってきました。でも、それと同時に違う疲労が溜まってきているように恩えたので、午後のメニューは休んで、部屋でのんびりすることにしました。トレキャンが始まってからずっと緊張していたので、リラックスできたことは精神的にも良かったと思います。
トレキャンで問題があったとすれば、体力的なことに集中しすぎて、技術的な課題に徹底して取り組めなかった、もしくは、体力的なことに集中していることを言い訳にして、技術的な課題にしっかり取り組むことから逃げていた、ということだと思います。このことが結果的にレースでのミスにつながり、それを次のレースに生かしきれなかった事につながったのかもしれません。技術的なことからどうしても逃げがちなのは、自分でも気付いている弱いところです。もっと上のレベルを目指すなら、なんとか克服しなければならないところだと思います。

レースの反省

体の調子は、当然の事ながら6,7月のような「絶頂」の状態にはなりませんでした。しかし、気力と集中力と直前の準備で、それはある程度カバーできると思っていたので、焦りはしませんでした。
クラシックは、ほぼ最初から最後まで集中力を維持することができたと思います。100分を越えるレースにもかかわらず、あっというまだった、と終わってから思いました。ただ、もっと走れたらなあ、と途中で何度も思いました。ショート予選のテレインは、咋年ブルガリアで走ったものとそっくりでした。クラシックの疲労は思ったほど残っておらず、序盤は調子よく入れました。しかし、そこで気を緩めてしまって、すこし雑になってしまい、それが大きなミスにつながってしまいました。ただ、そこからは気を取り直して集中して走ることができました。後半の走りには満足しています。
ショート決勝は、体力的な不安から完全に弱気になってしまっていました。この時点で、この日の結果は決まっていたようなものでした。ミスを連発し、本当にひどいレースをしてしまいました。しかし、終盤の50メートルー気登りのレッグで良いラップが出ており、もっと自信を持っていけば良かったと思いました。3日目を終えて、満足できるような結果は残すことができませんでした。リレーを走ることはなかばあきらめていましたが、3走を走らせてもらうことになりました。ショート決勝の反省を生かして、自信を持って走ること、妥協しないで走ること、最後まで気を抜かないことを頭に置いておきました。しかし、ミスを重ねてしまい、最後のレースも結果を出せませんでした。
結局4日とも結果を出せなかった原因は、1つのレースの反省を次のレースに生かしきれなかった事にあると思います。それを引き起こしたのは、体力的な面での不安だったように思えます。翌日に向けて体を何とかしよう、という事を考えるだけで精一杯でした。仕方がなかったこととはいえ、体力に繊寸の自信を持った状態で臨めたらと思うと残念でなりません。
自信を持って臨む、ということの大切さを痛感しました。もし、体力的な不安があるなら、それをカバーできる技術を自信を持てる程度に高める必要があったのだと思います。今回は、自信を持てる部分をつくれませんでした。今回のような結果になった原因はそこにあると思います。
収穫ももちろんありました。今まで、飛ばしすぎかな、と思っていたぺ一スでも、結構粘ることができたし、そのスピードをもっと維持することはトレーニング次第では可能だ、という手ごたえをつかむことができました。まだたっぷりと残っているr伸びしろ」を自分の中に感じることができました。

これからに向けて

気になったことを一つだけ。万全の準備で臨めなかった僕が言うのも変なのかもしれませんが、準備の段階で、もしくは大会の期間中に、何人かの選手から弱気な発言が目立ったように思えます。もしかしたら、僕自信も何度か弱音を吐いてしまったかもしれませんが、あまり好ましいことではないように思います。なぜならば、そういった発言を耳にすることによって、例えば順調に調整が進んでいない選手が、持っべきではない安心憾のようなものを抱いてしまったり、チームの士気が下がったりする恐れがあると思うからです。焦ることは良くないけれども、代表に選ばれた限り多少の危機感のようなものを持って準備するべきだと思います。不安があるなら、それはコーチに相談すべきであって、個人競技ではあるけれどもチームとして参加している限り、チームメイトには見せるべきではないと恩います。出場したくてもできなかった人もいるわけだし、結果的に失敗してしまうのは仕方のないことだけど、失敗しそうであることをほのめかすのは、そういった人たちに対しても失礼なのではないでしょうか。オリンピックに出場する選手たちは、準備段階においても、試合前においても、決して「調整がうまくいきそうにないです」「万全の準備はできていません」とは言わないと思います。高い意識を持ちましょう、ということです。

最後に

今回ユニバーに出場するにあたり、応援、ご協力を頂いた大勢の方々に心から感謝いたします。ほんとうにありがとうございました。


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