第12回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

紺野 俊介
年度大学卒

報告書


内容

  1. 準備(セレクション~ユニバー)
  2. トレキャン
  3. ユニバーシアード(レース)
  4. 反省と今後

ユニバーが終わり、月日はあっという間に過ぎていきます。セレクションから本番まで費やした時間を思えば大会は一瞬の出来事だった気がします。しかし、ユニバーに出場して、感じたこと経験したことはこれからのオリエンテーリングに生かしていきたいと思います。

準備(セレクション~ユニバー)

4月30日のセレクションは、はっきり言って何も準備をしないで臨んでしまい、準備不足は結果にしっかりと表れ、6人目にぎりぎり残った感じでした。この頃の自分は就職活動を理由にトレーニングをサボっていたし、オリエンテーリングから少し離れていた気がします。しかし、代表になったからには結果を残さなければいけないという使命感が自分の中に芽生え、この日を境に、8月下旬のユニバーに向けてトレーニングを始めました。

最初の課題としてはやはり体力面でした、この頃のレース内容は、中盤から終盤にかけてミスが多く、上手くいっていたレースを台無しにしてしまう傾向がありました。体力的にきつくなると集中力の低下し適当なルートチョイスやアタックをしてしまうことがその主な要因であり、それを克服するのが最初の課題でした。常に左太ももに爆弾を抱えている自分にとって、怪我との付き合い方は重要でした。5月中はそれほど走らず週末のオリエンが唯一の練習みたいなものでした。5月下旬の合宿では、結構追い込んだ練習ができましたが、体力の不安を残すものでもありました。2日目のつくばロックの大会では足を捻り最悪な気分で合宿を終えた気がします。6月に入ってそれなりに走行距離が増えましたが、相変わらず就職が決まらず気持ちは就職活動の方に向いていました。就職先が決まった後、ようやくオリエンに集中できるようになって静岡での合宿に参加し、ポスト周りでのうろつき、直進の精度の悪さなど技術的な課題もいくつか出てきました。意識してやればできることもレース(特に長いレース)になると、雑になってしまい結果としてミスする。基本技術の重要性を改めて考えさせられました。

7月はフィンランドの来年の世界選手権のモデルテラインでトレーニングを行うことができ、充実した練習ができたと思います。オリエンテーリングだけで100キロ以上トレーニング、オリエン中心の生活ができたことは、今となっては貴重な体験だったかもしれません。

北欧独特のテラインで直進、歩測を中心に点から点へのアタックの練習を繰り返したことで、それぞれの精度も上がりました。しかし、練習やレースを繰り返すことで、高さの感覚がないこと、ポスト前で躊躇してしまうなど新たな課題も浮き彫りになりました。これ以降その課題を常に意識してオリエンに臨むようにしました。

充実したトレーニングを終えて帰国したわけですが、帰国後風邪を引き熱を出して寝込んでしまったのと、羽鳥氏に手足口病をうっされた(北大大会の時発病)ことで医者から外出禁止令が出るなどで2週間近く何もできない日々が続きました。何とか回復し向かえた8月11日から13日トータス大会での最終合宿、ユニバー前最後の日本でのレースで順位よりも課題を意識して臨みました。ある程度自分のレースをできたところもありましたが、完全に課題クリアとは行きませんでした。最終日に右アキレス腱を痛めそれからトレキャンまではほとんど走らず過ごし、出発前日まで地図調査に没頭していました。正直、この頃は準備不足でどうなるんだろうという不安と同時に、後悔したくないから後は今出せる力を出してくるだけという気持ちでいっぱいでした。

トレキャン

日本から丸一日かけてフランスについた日の午後、トレキャンに入った。トレキャンの宿は農学校であたり一面畑で牛や馬が戯れていました。農学校と聞いていたのでなんとなく汚そうなイメージがあったが、建物自体すごく縞麗で快適な生活を送れた気がします。ただ、ハエが多かったのと夕食の時間が長かったことを除けば。

事前に大会のモデルテレインとなる地図を見て、道が多数存在することで一見簡単そうにも見えるが、道の乗り換えやルートチョイスによって、タイムに大きく影響しそうであるというイメージがありました。また、のっぺりとした地形のためコンタリングの際、高さの感覚や高さの維持は重要であると考えていました。トレキャンではルートチョイスと高さの感覚、それと基本技術(直進、歩測)を意識してオリエンテーリングを行った。

フランスは2年前にJWOCで来た事があったが、そのときの山はフラットな所や細かい地形が存在しており、傾斜がきつく、細かい地形(沢や尾根)がない今回の山とは大きく異なっていた。どちらかというとテレインはとても日本に似ていて、北欧のテレインに比べると簡単ですぐに対応できたと思う。1本1本の練習を大事に常に課題を意識して、トレキャンを過ごしたが大会が早く始まって欲しいと思う反面、もう少し練習がしたいという気持ちもあった。あっという間にトレキャンが終わり本番を迎えることになった。

ユニバーシアード(レース)

現地入りした翌日、モデルイベントで最終調整(確認)。今までの課題を確認したり、地図の表記を確認した。炭焼き釜跡は日本の物とは異なり、その場に行けばなんとなく分かる感じで、植生は結構使えるかなという印象だった。

クラシックは後半のスタートだったが、特に気にすることなく、今までの課題と1番ポストは慎重に取るということだけを意識して臨んだ。順位も50番台ぐらいを目指していた。地図を手にした時は知ってはいたがあまりにも大きい地図に驚いてしまった。レース中常に地図とコンパスとコンタクトを取っていた、いつもなら地図だけで、感覚で行ってしまうような所も、必ずコンパスを振り慎重に進んでいた。前半と後半のロングレッグでのルートチョイスは、いずれも失敗だったが後半の方は、蹟踏せずに行けたことでそれほどロスにもならなかった気がする。逆に前半は、1,2と順調に取っていたにも関わらず、なぜか焦っていたのだろう。出てくるはずのものが出てこず、さんざん考えた挙句、なんとかルートに戻った。この時点でかなりのロスをしている感じだったが、逆に開き直ったというかなんか落ち着いた。斜面をコンタリングするレッグが多かったので高さの感覚は特に意識して、この後は無難にレースをまとめた。結果は70人中40位だったが、「あそこでミスしなきゃ…」とも思ったが、ミスするのも実力のうちと気持ちを切り替えて翌日を迎えた。

ショートは、どちらかというと「日本人でも戦える」という印象があったので、Aファイナルを目指してかなり気合を入れて臨んだ。しかし、予選はもう惨敗だった。正直、もしかしたら残れるかとも思っていたが…。レース内容的にも序盤は調子よく、中盤以降は手続きがおろそかになってミスってしまった。フラットで道も発達していてとても走りやすく簡単なコースであったため、走り負けた感じだったが、速いスピードでの自分のオリエンテーリング、手続きが出来ていなかった。スピードに任せて、ラフなオリエンテーリングをしていた気がする。非常に悔しかったが、翌日はBファイナル1位を目指すことにした。

決勝は、多少のミスはあったがかなり良いレースができた。レース中かなり集中していて、ミスにも落ち着いて対処できたし、地図もよく読めていた。ショートだからミスは許されないという気持ちが、普段より慎重なレースをさせたのだと思う。ただ、トップと2分近い差がついてしまったのが残念だった。今の自分の力では、そのタイムが出そうになく悔しかった。

リレーは一走という大役を任された。一走は何度か経験があるがうまくいったことがなく不安であった。しかも、最初での遅れは、2走以降の人に迷惑をかけてしまうので、何とか上位でという気持ちで一杯だった。序盤こそ集団について行ったが、ちょっとしたミスで遅れ後は自滅してしまい、おまけに体力的にも限界だった。どっかで油断していたのかもしれない、後半はまったく足が上がらず苦しいレースで、前日まで出来ていた手続きや課題が、なに一つ出来ていなかった。課題だった辛くなると手続きが雑になる、まさにそれだった。前日の納得のレースとは逆に最悪のレースになってしまった。結果としてチームのみんなには迷惑をかけてしまいました。終わり良ければすべて良しというが最後が最悪で悔いが残る結果になってしまい非常に悔しいです。

反省と今後

あっという問に終わってしまった、ユニバーですが、充実した大会であったと恩います。得られることが多く、これからの課題も多く残りました(悔いも残ったけど)自信をもって進んだレッグと現在地を確定しないまま不安に進むレッグとではタイムに大きな差があり、いかにスピードを落とさず進めるかが重要でその技術がまだない。現在地が確定できなくなると「ここいいるかも」や「絶対ここだ」などあいまいな推測、断定をしてしまうケースが多々あった。この場合かなりの確率でミスをしている。このような場合「落ち着いて良く考えろ」とよく後輩に指導しているが、自分が出来ないのでは仕方ない。これらは精神的に余裕がない(焦っている)こともあるが自分の力にも自信がないから起こりうることだと思う。

また、日本でのレース内容と海外でのレース内容とでは臨む気持ちが異り、海外でのレースのほうが結果的にも良いレースが出来ている気がする。

日本だとある程度自分の順位や位置が分かっていて、その位置を確保するため、「絶対上位に」とか、「勝たなきゃ」といった気持ちで臨んでおり、常にプレッシャーを受けたレースや緊張したレースをしている。逆に海外のレースになると世界での自分の実力や位置が分からないだけあって、なんとなく気持ち的に楽なレースができる。

別に緊張やプレッシャーがまったくないわけではないが、順位にこだわらない分(狙ってないわけではないが)、楽なのかもしれない。海外で出来ることだから、国内でもできるようにしたい。

良いレースが出来た時の心理状況で、普段のレースが出来ればきっと良いレースが出来るのだろう。そのためには自信をもって臨める絶対的な技術も必要だし、強靭な精神力が必要だと思う。メンタル面の強化も重要でありこれからの課題だ。

今後は、残りのインカレに集中し、インカレで結果を出し、その後のことはそれから考えたい。

最後に、多くの人の協力や援助があって無事に大会を終えることが出来ました。本当にありがとうございました。


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