「菅平高原」地図作成
1999年10月 地図作成担当 高島和宏
 
 
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 前年に八ヶ岳で開かれた6人リレー大会の翌日から、本7人リレーのための地図調査を開始した。菅平高原における地図調査は、冬季は雪のため全く行うことができないため、1年前の秋と開催年の春が集中的に調査の出来る期間である。
 原図は、20年以上も前に地元真田町が作成した行政図「真田町全図2」があるが、残念ながら経年変化が激しく、スキー場コースも一部記載されていない状況のため、今回は原図として使用することを断念し、全面的にパーマネントコースマップである前「菅平高原」(1995年作成)を用いることにした。
 ただし、一般的にオリエンテーリングMAPを原図に用いるときは、前回の調査時における絶対位置精度のずれを修正する必要がある。それは、オリエンテーリングの調査の場合、相対位置の方が優先されるため、その大会において使用しない部分等に歪みが生じている可能性が高いためである。

 今回の7人リレーでは、国道を挟み、東側のダボスの丘と西側の太郎山を使って行うことになり、ダボスの丘については、長野3days大会を開催しているエリアであり、既に精度の良いO-MAPが完成していると同時に、比較的オープンテレインで、調査も容易であった。しかし、太郎山については、スキー場と森林部分が交互に位置し、前回のMAPは、パーマネントコースということで、ほとんどの森林部分が未調査であるだけでなく、そこに歪みが集中している可能性が十分に考えられた。
 そこで、人工衛星から現在位置を割り出すことの出来る「全地球測位システム(GPS)」を導入し、本大会の地図範囲の骨格を修正する作業を行うこととした。 GPSの受信機は、カーナビなどを始めとして、各社から発売されているが、測量用のGPS機器は、値段も高く、100万円以上する物がほとんどであり、個人で購入することは出来ないため、今回は、登山等で使用する小型・安価なハンディ型のGPSを用いた。ただし、この受信機単体では、100mほどの誤差があるため、そのままでは、とてもO-MAP用には、使用できない。そこで、今回は誤差補正情報を受信機に別途入力する方法を採った。詳しい方法は別の機会とするが、おおむね5〜10m程度の誤差で絶対位置がプロット出来ていた。

  
 その状況を一部MAPで示した物が、右の図である。太郎山の北部のスキー場であるが、点でプロットしてあるものがGPSでの位置を示した物である。背景としているのは、原図とした前MAPであり、そこにオーバーラップさせて、GPSのプロットおよび道や植生界を記入してある。この地図から、スキー場のコース幅がかなり異なっていることが判読できることと思う。このずれは、最大100mにも達しており、この骨格修正は、とても歩測等の従来方法では、不可能だと思われる。
  
 なお、GPSでの骨格調査方法であるが、左図に示すとおり、太郎山山頂(X印)を第一基準点として、原図の位置合わせを行い、第二次基準点として、今回の会場であった鈴蘭館およびホテル白樺荘(△印)を設定し、各々数時間のGPSデータを取得した。これらの経緯度データから、第一次基準点を絶対位置として固定し、第二次基準点は、歪みのないことのチェックのために使用するとともに、原図の骨格としている。 そこで、これら3点を基準にOCADのGPS機能を使い、Adjust(整合・調整)設定(下図)を行い、骨格調査は行っている。その結果が前述のプロット図である。GPSデータが役に立ったのは、このスキー場部分だけでなく、6、7走にて使用した範囲である今回新たに付け加えた太郎山北部の森林においても、このGPSデータが大いに役に立った。この部分は、全く原図がなく、周りもC藪に囲まれているため、どこに位置するのかさえ分からない状況であったが、GPSを用いることにより、およそ1日で範囲内の骨格を完成することが出来た。

  
 非常に役立ったGPSによる調査であったが、GPSや誤差補正情報を取得するためのソフトウェアや接続ケーブル類は、ほとんど自作であり、様々な試行錯誤を行っているため、誰もが使えるようなシステムには、ほど遠い状態である。したがって、他大会の調査においても簡単に導入する事は難しいと思われるが、近い将来これらの整備が進むことによって、導入への敷居は低くなるであろう。