4月、5月は今後の取り組みも考えて、トレーニング量を増やしていこうと取り組んでいた。1回のトレーニングを長くしたり、忙しく夜遅くに帰宅してもそれから走ったりしていた。結果、大学4年のときは100km前後/月だったトレーニング量が、5月には150km/月を確保することができた。
たくさんオリエンテーリングをするため、NT合宿も含め、できる限り合宿に参加するようにしていた。しかし、目的意識を持って参加していたか、反省をし、次へ活かせていたか、といったところが曖昧なままであった。せっかく合宿に行くなら、ただ参加するだけでなく、できる限り多くのものを得てこようという姿勢が大切だと今更ながら痛感している。
個人戦では、スプリントは上位半分に入ること、ミドルはトップ比140%以内を目標にしていた。特にスプリントはセレを1位で通ったこと、WOCの代表にもなったことから、数字として結果を出したいと思っていた。
WOC終了後すぐにエストニアに渡り、先に現地入りしていた朴峠さん、高田君と合流してトレーニングを行った。トレキャンでは、エストニアのテレインでは何が使えて何が使えないのかをつかむことを目的とした。トレーニングをし過ぎて本戦に疲れが残らないよう注意して、物足りないくらいで終えるようにしていた。
エストニアのテレインは平坦で地形がほとんどわからず、ヤブや湿地により走行可能度が低い場所が多く、直進できない&手前で止まってしまう、と対応できなかった。また、ハエとアブと蚊に悩まされ、なかなか集中できなかった。しかし何度かテレインに入ることで、現地で見えるもの、見えづらいものを確認でき、本戦でしっかり走る自信がついてきた。
トレキャン中の宿舎のあったPolvaは小さな落ち着いた街で、かつ買い物などの便が良く、とてもリラックスして生活できた。またテレインが近くにあったため、移動による疲れもなく、体調を整えることができた。
結果は69人中39位、トップ比123%で目標には届かなかった。中盤でしばらく1分後スタートのフィンランドの選手を追いかける展開になり、良いペースでレースができた。また大きなミスをせず、集中して走りきれたことは評価できる。ポスト周りで小さなミスが多くあり、レース後は悔しさがあった。ただ、ポスト周りでのロスよりも、単純なランニングスピードの遅さが圧倒的に効いていると感じた。WOCでも痛感したことだが、まずは走力を上げなければ上位は目指せないと思った。
トップ比156%。地形がまったく捉えられず、正しい方へ向かっている自信が持てず、必要以上にコンパスや地図を見てスピードダウンしていた。私は直進技術にあまり自信がなく、それが出てしまった。エストニアのような平坦なテレインでは、直進と歩測でコントロール付近まで行く、という技術が必要だと感じた。似たようなテレインは日本にはないが、直進や歩測の練習ならどこでもできる。
2走を走った。前日のミドルや、トレキャンでの経験から考えて、できる限り道や植生界などのラインを使って確実に、思い切り走るようにした。そのためミドルよりも気持ちよくレースをすることができた。しかし1,2走の中のトップとの比は148%で、2走の中では一番遅く、前との差を広げてしまい、チームに貢献できる走りをするには、もっと実力をつけなければならないと感じた。
チームとしては、合宿でメンバー選考などについて何度も話し合いをし、私はその中でリレーを走るんだ、という気持ちを確かにすることができた。ただ、展開の予想などは前日に少し話した程度で終わってしまい、どういう走りをするかや、個人にかかるプレッシャーをチームで共有できなかった。今後、リレーで一つでも上の順位を狙うなら、個人の実力アップ+チーム全体でどういう走りをするのか作戦を立てておくことが必要だと思う。
ユニバーは日程がタイトで、1レース終わるとすぐ次の日にレースがあり、体力的にも精神的にも大変だと感じた。速くなるためはもちろん、1つの大会で何レースもこなすためにも、体力アップは重要な課題だと思う。
私の取り組みは、地図読み、情報収集などの準備にしても、積み重ねてきたトレーニング量にしても、ユニバーという舞台で目標を達成するには、不足であったと感じている。
ユニバーに参加して、漠然と目指していた“世界のトップレベルで戦うこと”がどれだけ厳しいことなのかを痛感した。しかし、私はまだ自分の限界が見えるほど経験も努力もしていない。だから、もっと努力して、自分の可能性を試してみたい。また、今回のチームメイトやこれからユニバーを目指す人たちとも、もっと競争し、一緒に高めあっていきたい。
遠征するにあたって、たくさんの方にご支援いただき、あたたかく応援していただきました。西脇さんにはエントリーや合宿などで、尾上さんには現地でたいへんお世話になりました。チームメイトのみなさんとは、合宿や現地で多くの刺激をもらい、またとても楽しく過ごせました。誕生日ケーキ、とてもうれしかったです。支えてくださった皆様に感謝いたします。ありがとうございました。