第16回世界大学オリエンテーリング選手権大会報告書

関谷 麻里絵
京都大学


内容

  1. はじめに
  2. ユニバーまでの準備
  3. 海外での生活
  4. ユニバーのレース
  5. 最後に

はじめに

私は2007年度のインカレミドル選手権クラス優勝という実績により、今回のユニバー日本代表として選出していただきました。前年12月頃から膝の故障を抱えており、トレーニングどころか日常生活にすら支障をきたす状態が続く中だったので、正直4月のセレクションで正式に決まるまでは出場はかなり悩みました。インカレは何とか乗り切ったものの、セレクションでも思うように走れず、トレーニング計画の目処も立たない。チャンスを他の人に譲ってあげた方が良いのではないか。それは何度も思いました。しかし、不幸中の幸いにも膝は快方に向かってはいたので、ユニバーをきっかけにもう一度一から自分への挑戦を始めたい、そして何より、2年前にJWOCで見てきた世界のオリエンテーリングを「今」の私の目で見てみたい。そう思って今回の参加を決意しました。

ユニバーまでの準備

セレクションの後に何度か合宿が行われました。私は、足の調子やその他の予定と相談しながら、4月末の富士での合宿前半、5月末の東大大会を使った合宿、6月中旬の駒ヶ根高原大会を使った合宿、7月初めの八ヶ岳での合宿の4回に参加させていただきました。当初ロングへの出場を希望していたのと、膝への負担、経済的負担を考えて5月のスプリント合宿は控えさせてもらいました。

合宿に参加するにあたって、交通手段の確保が最も大変でした。関西から参加するのが私だけということが何度かあり、2日前に慌てて夜行バスを確保したり、大会の後に近くのクラブの方にお願いして車に乗せて帰っていただいたりとバタバタすることが多かったです。その際たくさんの人にお世話になり、本当に感謝しています。

合宿では毎回良い練習が出来ました。何より、同じチームの人と反省をしたりしながら弱点を洗い出していけるのがとても為になりました。お互いのオリエンテーリングや考え方を知ることが出来るし、皆ハイレベルなので学ぶことがたくさんありました。JWOCやNTの皆さんとの合同合宿もあり、モチベーションを上げていく上で合宿はとても重要な存在でした。

合宿でチャレンジして、その課題を克服する練習を積んで、また合宿へ、という良い循環が出来たら、うまくステップアップしていけると思います。私はずっと足に不安を抱えたままで、思うように練習やトレーニングが出来ませんでした。レースにおいても、身体を壊したくないという思いが先走って、思い切り走れない状態が続きました。とにかく月100㎞以上のトレーニングペースには身体を戻すこと、それから筋トレやマシントレなども取り入れて出来る限り膝への負担を軽くしてやることを考えました。ただ、今年に入って地図読みのペースが落ちてしまったことは問題でした。目に見えて技術(レースでの処理の速さなど)が落ちているように感じました。少しの時間を見つけては地図を読むこと、特に私はあまりできなかった現地の地図を読み込むことをしておけば、もっと現地でも対応できたのではないかと思います。

海外での生活

私はスウェーデンでのオーリンゲンアカデミーに参加していたので、渡航期間は7月15日~8月7日の丸3週間でした。オーリンゲンに3日間参加した後、ユニバーに出場する数名でエストニアへ移動しました。

エストニアでの生活は総じて快適でした。食事はジャガイモやパンを主食として肉、魚といろいろ出ましたが、どれも口に合わないことは無く、美味しく食べることが出来ました。トレキャンの間は一日二回のトレーニングを好きなように組む方式で、各自体調に合わせて参加していました。そのためストレスもかからず、昼寝なども十分できてあまり疲れは感じませんでした。また、尾上さんが宿舎のある街のマップで10本ほどスプリントのコースを組んで下さっていたので、朝に宿舎を抜け出して朝練スプリントをしたり、トレキャンのあとのまとめに一本走ってきたりと、気軽に練習することが出来ました。スプリントのトレキャンの後には、近くの湖まで走っていって泳いだりもしました。

本戦のホテルに移ると、日本チームで部屋の場所がバラバラになってしまって少し不便でした。ネット環境もホテルのPCでは日本語が見られず、食事をする建物のPC二台だけしか使えないので、そんなに良くありませんでした。本来なら現地レポートをこまめに日本に発信したいところでしたが、なかなかそうもいきませんでした。

トレキャン、本戦どちらでもスーパーは近くにあってすぐに買出しに行くことが出来ました。たいてい宿の食事だけだと野菜や果物が不足する感があるので、みかんやプルーンを買ってきて食べたりしていました。一度、稲葉さんの誕生日があってサプライズケーキを準備したこともありました。

ユニバーのレース

私はスプリント、ミドル、リレーの三種目に出場しました。当初の希望とは全く違う種目になってしまいましたが、元々得意苦手がそれほど無い方なので、違和感はさほどありませんでした。

スプリントは、オーソドックスなコースでした。ただ、走れなければ話にならないコースでもありました。足があってうまく流れに乗れれば、十分上も見えるように感じました。私の内容はあまり良いものではありませんでしたが、手ごたえはありました。スプリントに特化して出場を目指す、というのも策だと思います。スプリントは他の種目と違ってビジュアル的要素が格段に高いです。今回、スタートフラッグは会場、3ポはステージの上と頭が真っ白になるような要素が満載でした。その上たくさん選手が見える中で自分をコントロールする精神力は重要だと思いました。

ミドルは、私はまったく対応できないままに終わったレースでした。トレキャンとは異なる5mコンタであったこともあり、細かいものにばかり目がいってショートする、というループを繰り返していました。自分の行きたいように行けば、自分の能力を超えている、という状態で、まったく上手く行けませんでした。もっとシンプルに、確実な方法で進むことの方が重要であると思いました。私程度のレベルであれば、「速く行く」ことは出来ない、「遅くない」程度にしかなれないと感じました。トップ選手の集団に遭遇もしましたが、すぐに引き離されました。

リレーでは私はアンカーである4走を務めさせてもらいました。前日のミドルと同じテレインで、やはり日本は苦戦していましたが、前半の走順の人に情報をもらい、昨日よりもシンプルなコースということであまり不安にならずに出走することができました。レース中は誰に会うこともなくずっと一人旅でしたが、その分落ち着いたレースをすることが出来ました。アンカーはオリエン人生を通して珍しい体験でしたが、皆の頑張りを思って力を出し切ることが出来ました。

全体的に私のレース内容は悔しいものばかりでした。しかし、このレースに向けた準備が不十分であったという感は否めません。日本においても、現地においても、もっと計画的に準備が出来ていれば、と思います。なまじ迷いがずっとあっただけに、どれも中途半端になってしまいました。まずこの舞台で楽しむためには、身体が出来てなければならない。そこからまず不十分で、そればかりは付け焼刃ではどうにもならず、もどかしい思いをしました。今後行く方には十分過ぎるほどに準備をして欲しいと思いますし、私が行くことになればそれだけの努力をしたいと思っています。

最後に

今回の海外遠征は以上のようなものでした。全体的に不完全燃焼で心残りがあるので、私はもうちょっと上を見て今後やっていきたいと思っています。ユニバーは少し世代に幅のあるメンバーで参加するので、とても刺激になると思います。次回には若い世代とともに挑戦出来ればと思います。

最後にお世話になった方々へのお礼で締めくくりたいと思います。

JWOC、WOCからの海外での長期間滞在にも関わらず私たちの面倒を一人で見てくださった尾上さん、本当に有難うございました。

途中まで一緒に頑張ってきて、残念ながら出場できなかった米谷さん、何度も応援メッセージをいただいて、とても励みになりました。早く快復されることをお祈りしています。

合宿やエントリーを初めユニバー出場全般に渡ってお世話になりました西脇さん、技術委員の皆さま、それから合宿でお世話になったコーチ、その他の皆さま。応援してくれた京大、朱雀OK、安土UKの皆さん、壮行して下さった方々。皆さま、本当に有難うございました。今後も宜しくお願いします。


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